とある町長の個人記録

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苫野一徳(2019)『「学校」をつくり直す』河出書房新社

 哲学、教育学が専門の苫野一徳さんの本です。菊池省三先生ともよく対談されていたり、最近、私も注目している方のお一人です。今回の本では、タイトルの『「学校」をつくり直す』とあるように、今の日本の学校のシステムそのものを変えていかなければならないということを主張されています。これまでの一斉指導型の授業ではなく、「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」を提唱されています。

 公教育は、すべての子どもに「自由の相互承認」の感度を育むことを土台に、「自由」に生きるための力を育むことを通して、「自由の相互承認」を原理としたこの市民社会の礎を築くためにあるのです。

苫野一徳(2019)『「学校」をつくり直す』河出書房新社(P.88)

 苫野さんは公教育の本質は自由の相互承認の感度を育むことを土台に、自由に生きるための力を育むことだと言っておられます。そのためには、「探求する力」を伸ばす教育にしていくべきであると主張されています。「自分(たち)なりの問いを立て、自分(たち)なりの仕方で、自分(たち)なりの答えにたどり着く、探求する力」です。

 最近よくそれぞれの現場でも聞きますよね。「最近の若い者は言われないと動かないし、言われたことしかしない」と。自ら課題を見つけて、それを解決しようという学びをして来なかったのですから、ある意味で当たり前なのかもしれません。ちょうど今、消防職員との面談を行っています。中には若い人にはもっと自ら考えて動いて欲しいという声も聞かれます。一方で消防組織は縦社会が強く、厳しい規律があり、現場では言われた通りに動くべきという考えもあるかもしれません。しかし、本書の中でも、『関係者から聞いた話によると、上意下達が最も厳しいと思われるアメリカの軍隊でさえ、今では兵士たちが上官の命令にただ従うだけではなく、「自ら課題を見つけ、それを解決する力」を求めているそうです。』と書かれています。今やどこの企業などでも自ら課題を見つけ、その正解のない課題に対して、仮説を立て、検証し、その時点その時点での答えを決め、走りながら常に軌道修正して課題を解決していく、そういう人材が求められています。ちなみに、本町の消防職員の中には「もっとこうしたら良くなるのでは」ということで、提案などをあげてくれる職員もたくさんいます。

 さて、苫野さんは、「学びの個別化・協同化・プロジェクト化の融合」を言っておられますが、個別化は一斉型の授業ではなく、いつ、誰と、どこで、何を学ぶかや、それぞれのペースなどもあるので、それぞれの子どもに最も合った仕方で学ぶということです。しかし、それだけでは孤立化してしまう可能性もあるので、協同化の融合が必要だということです。必要に応じて、人の力を借りたり、貸したりし、ゆるやかな協同性に支えられながら学びを進められる環境が必要です。そして、カリキュラムの中核を「プロジェクト」あるいは「探求」へと転換することです。

 出来合いの問いと答えばかり学ぶ学びではなく、「自分(たち)なりの問いを立て、自分(たち)なりの仕方で、自分(たち)なりの答えにたどり着く」、そんな「探求型の学び」です。

苫野一徳(2019)『「学校」をつくり直す』河出書房新社(P.103)

 2020年から小学校の学習指導要領が改訂されます。そこには「主体的・対話的で深い学び」が謳われており、まさに菊池先生や苫野さんのおっしゃる学びと方向性は同じになって来ているのではないでしょうか。子どもたちは本来、問いのかたまりであり、探究心を持っています。だからこそ、自分の関心のあることはとことん探求する機会を保障してあげることが大切です。

 そのためには、学校の今のシステムを変える必要があります。本書の中でも紹介されているように、今の制度の中でも教育委員会や校長先生や現場の先生の取り組み方によっては、できることもたくさんあると思います。行政としては、現場の先生方を「信頼して、任せて、支える」ということを常に念頭に置きながらやっていく必要があります。

 「学びの個別化・協同化・プロジェクト化」の中身は本書をぜひ読んでみてください。これらの実践をやろうにも、現場ではなかなか共感を得られないということも多いようです。本書の中でも、「対話」が重要であると書かれています。諦めずに対話をし続けることが重要です。

 「あきらめたら そこで試合終了ですよ・・・? by 安西先生」

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